きみは「Let it be」と言った

ありのままに自分の好きなことを思いつくまま

「桜隠し」というらしい

今日は大雪だった。
道には桜が咲いているのに、ぼたぼたの大きな雪が空から落ちてくる景色は、おとぎ話のそれのようだった。
 
ツイッターで言葉を見つけた。
立春を過ぎて雪が降ることを春の季語で「桜隠し」というらしい。
響き、字面ともにとても素敵な言葉だと思った。
 
日本が世界に誇る文豪の三島由紀夫は『文章読本』で日本語について以下のように言っている。
日本語の特質はものごとを指し示すよりも、ものごとの漂わす情緒や、事物のまわりに漂う雰囲気をとり出して見せるのに秀でています。
 
仕事において、言葉の定義はとても大切。
できるだけ自分の認識を相手に誤って伝えないように、あやふやな表現を排除し、簡潔に的確に言葉を発する。
入社し、今の部に所属して、一番初めに先輩からいただいた言葉が、
「伝えたことが伝わったこと。」という言葉で、これは今仕事をする中でも、意識するようにしている。
 
仕事で使う日本語も好きではある。
自分の考えを相手に適切に伝える、ということは楽しく、そうして議論を重ねることはとても刺激的である。
ただ、和歌や小説などで使われている伝わり方を相手に託す日本語も僕は好きだ。
文章を読んで、想起するものは人それぞれ異なる、それは音楽やアートなど、芸術としての面が強い”言葉”といっていいかもしれない。
機械的に不要なものを排除していないため、その”言葉”には人となりが垣間見える。
そういった言葉を使ったコミュニケーションからは、学ぶことが多いし、相手のことをより深く知ることができる。
深みのある言葉を楽しむことができる。
 
 
最後に、今日「桜隠し」という言葉を調べていた時に出逢った歌を紹介したい。
 
霞たちこのめもはるの雪ふれば
花なきさとも花ぞちりける
   ―――紀貫之 『古今和歌集
 
日本語を母国語として使っているこそ、日本語の美しさを大切にしていきたい。

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